長崎県貿易協会上海代表処
上海遠新国際運輸有限公司

総経理 永原 勇(ながはら いさむ)
永原氏プロフィール:
1940年生まれ、五島三井楽町出身、
1960年日新運輸株式会社入社、
1995年より上海遠新国際運輸有限会社総経理。

本社概要(日新運輸株式会社)

上海遠新国際運輸有限公司概要

設? 立 1949年 1992年
所在地 大阪市此花区西九条1-27-12 上海市宝山区共和新路4969号
代表者 (社長)原口 郁夫 (総経理)永原 勇
資本金 1億2千万円? 300万USドル(合弁:出資比率42%)
売上高 84億円 2,500万元(粗利ベースでの売上高)
従業員数 176名 105名(うち日本人駐在員1名)
業務内容 一般港湾運送、通関海上運送取扱 国際貨運代理業、保税、輸出入通関、貨物保管、国内運送他

 

国際貨運代理業の免許を、日系運輸会社で最初に取得

~ご出身は五島とお聞きしていますが…

???ええ、五島の三井楽町出身です。上海に住んでいる今でも、年に2回は五島に帰省しています。日新運輸株式会社に入社し、1992年に当社(上海遠新国際有限公司)の設立の話が出てきて以来、設立担当者として当社に携わっています。当時は出張ベースで上海に来ていましたが、1995年に当社の総経理として正式に着任し、現在に至っています。

~御社の業務内容をお教えください。

???主たる業務は国際貨運代理業といいまして、上海から日本の各港に貨物を一貫輸送するサービスを行っています。輸出入時の船積情報や船積書類の提供、輸入地での輸入手続き、内陸輸送の業務を通じ、お客様の手元に早く確実に荷物が届くよう日夜努力しています。現在の貨物取扱量は、毎月20フィートコンテナで中国から日本へ約500本、日本から中国へは約200本程あります。

~御社の設立のきっかけはどのようなものですか

???1991~92年当時、取引先の岐阜、名古屋のアパレルメーカーが相次いで上海に進出されておりました。それらのメーカーさんから、日系の運輸会社も進出して欲しいという依頼があり、中国の大手海運会社である中国遠洋運輸公司(以下COSCO)と合弁会社を設立することにしました。ただし運輸業は規制業種であり、簡単に許可が下りないと思っていましたが、特に問題なく、日系企業として初めて中国国内の国際貨運代理免許を取得できました。免許がすんなり取れた理由は、当社が「ハンガーコンテナ」という特化した技術を持っていることも一因と思います。

(写真:ハンガーコンテナ)
(ハンガーコンテナ:衣類などをハンガーにつるしたまま格納できるコンテナ)

またいち早く進出したために、先行進出の利益を享受でき、93年から97年までは売上が倍々で伸びました。会社設立時はそれほど伸びるとは見込んでいませんでしたので、うれしい誤算でした。

トラブルが発生すると、解決に時間がかかる

~業務上で日本と中国の違いはありますか

???業務面ではほとんど違いはありませんが、管理面についてはいろいろあります。
???例えば今年の7月より通関業務を機械化しましたが、事前準備不足などでうまく稼働せず2週間ほど大混乱になりました。
???また通常時は問題ないのですが、ひとたびトラブルが発生すると解決に大変な労力がかかります。例えば通関後に書類訂正をしたり、書類が紛失し再発行の手続きをする際、通関の担当者によってやり方が違ったりするので苦労します。なかなか解決しないときには現地スタッフの人脈を通じたりと、ケースバイケースで対応します。
???また貨物を陸送するとき、カバーを掛けたりロープで縛ったりしますが、貨物を持ち込む業者によってはそれが不十分で、荷物が雨で濡れてしまい、使い物にならなくなることもあります。特に梅雨の時期、精密機械の運送には神経を使います。
「総経理責任制」により、経営面は順調

~合弁企業として、経営面で御苦労はありませんか

???それが本当に全くと言っていいほどないのです。というのが当社の合弁契約時に総経理責任制を規約に謳ってますので、董事会(*注1)の承認の範囲内において、総経理が全面的に経営を管理、指導できるようになっています。
???それに合弁相手のCOSCOは、中国を代表する国際的大企業ですので、そう無理を言ってくることはありません。人材採用の際意見の食い違い等ありますが、基本的には私の意見が通ります。逆に日本側からの要求、クレームが多いぐらいです。時々自分が総経理なのか、それとも苦情受付係かわからなくなることもありますよ。(笑)
*注1 董事会~合弁企業の最高意志決定機関として、経営、主要人事、利益処分、解散等の重要事項を取り決める機関。
「注射液」を飲んだことがあります

~中国での生活でご苦労はありますか

???皆さんおっしゃられますが、今の上海の生活は快適です。安い日本料理店や外国系のスーパーマーケットもたくさん進出していますし、住宅事情も良くなって不便を感じることはありません。
???しかし、私が初めて上海に来た7年程前は本当に大変でした。出張で5週間、上海のある中国系ホテルに滞在したのですが、毎日中華料理三昧で(笑)、ついにある朝、食あたりによる腹痛を起こしてしまいました。その日は仕事を休んだのですが、夕方になっても直らず、言葉も通じないのでついに「身体不調」と書いた紙をホテルの人に渡しました。すると救急車で病院へ連れて行かれ、「伝染病の疑いがある」と一晩入院させられました。
???実際には、伝染病ではありませんでしたが、翌日医者がなんと、「注射液」と書いたアンプルを持ってきて飲まされました。そのアンプルを飲むときはさすがに不安でしたね。結局上海にいた5週間で、体重が7キロも減りました。
提案型の顧客サービスを目指し、人材育成中

~今後の御社におけるビジネス戦略についてお願いします

???まず第一に、日本式経営や顧客サービスをモットーに業務を行っていますが、まだ不足する面が多くあります。社員に対しては日常業務の中で教育していくとともに、いつも「アドバイスできるぐらいになれ」と言っており、提案型セールスができる人材を育成したいと思います。
???第二に、現在輸出入取扱いの90%は日本向けですが、日本以外の分を30%まで高めたいと思います。その為に香港、韓国、フィリピンの業者と代理店協定を結ぶ計画で、すでに香港の業者とは契約を結んでいます。
???また最近では、神戸、大阪、横浜に続いて7月から名古屋向けの小口混載業務を開始しました。そのような航路の拡充も、図っていきたいと考えています。
上海にいても、いつも故郷「五島」を気にかけています

~最後に長崎県の人々に対して、メッセージをお願いします。

???最初にも申しましたが、出身地の五島には毎年2回(年末とG?W)帰省しています。五島には人一倍愛着を感じていますし、上海にいる今でも、常に心のどこかで故郷を気にかけています。
???また、五島を出て40年間、自分ではずっと「出稼ぎ」という感覚で働いてきました。ですからいずれは五島に戻りたいと思っています。

(写真:同社の事務所、倉庫全景) (写真:同社の事務所、倉庫全景)

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