会社全景	中嶋 紘之 総経理

★静かな環境です。

～長崎県出身の方が多いですね。

???社長は大村の出身なんです。県内に、当社の養殖場?工場?店舗があります。長崎県を中心に九州出身の社員は多く、昭和４２、３年頃までは総社員の７割程度を占めていた位です。中国では、私を含め３名の長崎県出身者がいます。

～静かな環境ですね。

???ここに場所を選んだ理由がそうなんですよ。当社は真珠の仕入れ?加工?販売をおこなっているんですが、原珠（加工前の真珠）の選別や穴あけといった加工作業では環境が良いことが大切なんです。というのも、直射日光やビルの反射光が入ってくるような場所では原珠の微妙な色の区別がつきませんし、騒がしい場所では作業に集中できません。それに、田舎ですから（笑）、素朴で実直な従業員が多いことは利点の一つに挙げられると思います。

★視力１．０以上が必要です。

～業務の内容を教えて下さい。

☆穴明け作業

???原珠（浜揚げ）を仕入れた後、ここで加工作業を行います。「浜揚げ珠の選別→穴あけ→しみ抜き（漂白）→連組み前の選別→※連組み」の５工程が必要です。珠はそれぞれが、微妙に色?形?大きさが異なりますから機械で画一的に出来るというものではありません。どうしても、人の眼と手に依らざるを得ません。例えば、視力１．０以上が採用条件の一つになってます。加工後は、殆どが日本?香港?米国へ輸出されます。中国国内では上海?大連?北京で店舗販売を行っていますが、輸出に比べて割合が低いのが現状です。

☆穴明け作業

???また、昨年には金銀の委託加工のライセンスを取得しました。日本からの委託加工を手がけています。

???今はまだ第１期の段階ですが、今後さらに業務が拡張されると思います。

※連組み：穴があいた同一サイズ?同品質?色の真珠に糸を通し、ネックレスに仕上げる作業。
★綺麗過ぎる？真珠を作っています。
～中国と日本の真珠の違いといったものはございますか。

☆三角帆貝(サンカクハンガイ) の貝殻内面に付いた淡水真珠

真珠に対する捉え方も、日本人にとって真珠は「宝石」ですが、中国ではむしろ「アクセサリー」といった手軽な感覚で捉えられているようです。ですから、お買い上げ頂くときには、手入れ方法から説明する必要があります。
? ??一般的に、日本では海水真珠、中国では淡水真珠が多く流通しています。
???また、真円の真珠が中国では少ないため、当社の真珠が本物であることを納得して頂くまで時間をかけて説明する必要があります。出店した当初、真珠が綺麗過ぎるためか、偽物ではないかと言われた程です（笑）。

☆三角帆貝(サンカクハンガイ)?の貝殻内面に付いた淡水真珠

???販売面で付け加えさせて頂きますと、中国国内店舗での販売をするためには、金銀の販売ライセンスが必要なんですが、外資企業がライセンスを取得するのは極めて困難です。一般家庭への訪問販売も出来ない上に、卸先?販売先との交渉に時間がかかります。このニュースを読まれる皆様には、是非、当社の真珠をご購入頂きたいと願っています。

★人脈作りは大切。

～中国ビジネスでの苦労話などございましたら、お聞かせ下さい。

???まず、中国の副総経理に労務面等を任せていますが、上手く取り仕切ってくれています。従業員の定着率も良好で、入寮者が１７、８名いますが、それ以外は近郊の農家から通ってきています。どうしても制度や習慣の違いから双方の認識にずれが生じがちですが、間に立ってもらうことで微妙なニュアンスの疎通が図れています。

???また、工場の竣工前後には、政府機関各局との許可等の問題で、酒と煙草と中華料理漬けになりました。ただ、中国、特に地方になればなるほど地域社会にとけ込んだ人脈作りは大切です。困難な事が持ち上がっても、人脈により解決策が見つかることが多々あります。そうした意味で、当社の基盤を作ってくれた先遣隊の苦労は大きかったと思います。

???ほかには、工場の建物の品質が良くないために、月日が経てば経つ程、雨漏りを始めとして不都合な面が出てきています。建設当時は私も立ち会っていましたが、例えば内装工事業者は内装工事だけで掃除をしない。清潔感や全体に対する気配りに欠けている面があると感じました。当社では、清潔面には気を配っています。普段から、「自分達は綺麗な商品を作っているので、身の回りを綺麗にしよう。」と説いて、整理?整頓?清掃を徹底しています。

★同じ土俵、同じ目線で仕事をする。

～中国進出を考えている長崎の企業家に中国ビジネスの秘訣をアドバイス願います。

???まだ当社は設立して日が浅く、成功といえる段階かどうか判りません。それでも、結論から申しますと、同じ土俵、同じ目線で仕事をして中国側のリーダーを作り上げることが必要です。

???当社設立時、中国人スタッフ８名が神戸で研修を行いましたが、その間、私も寝食を共にしました。現在その８名は、班長?組長といったポストに就いています。手前味噌になりますが、彼らは、他の日本人スタッフ以上に、私の伝えたい意味を理解してくれるようです。おそらく、私の顔の表情や身振り手振りで自然と感じ取ってくれるのだと思います。

???また、先に述べましたように、当社は人の技術に依存しています。難しさはありますが、各自の技術が低下することがないように継続したきめ細かな指導?教育を行うよう心がけています。その際、良し悪しを明確にした上で、同一基準で判断することが大切です。

???今度も４名が半年間日本で研修を行います。彼らも、私たちと同じ考えを共有することになります。そうすれば、制度や習慣の違いを乗り越え、ビジネスも発展していくと考えています。

★中国は魅力的なマーケットです。

～最後に、今後の業務展開について教えて下さい。

???やはり、総人口が１２～１３億人といわれる中国は非常に魅力的なマーケットです。中国の平均所得額も徐々に上がってきていますし、沿岸部で人口が多く所得が高い地域がさらに出来てくれば、既存の３店舗以外に、出店を検討することになると思います。

???中国のすべての女性に当社の真珠のネックレスをつけて頂くのが私達の夢です。

???さらに業務が拡張すれば、従業員数も最終的には２００～３００名位になると思います。

※淡水真珠と海水真珠の違い