長崎県貿易協会上海代表処
上海大菱食品有限公司総経理 曽 波(そ は)氏 (46歳)
安倍首相による受賞式(右より2人目)

安倍首相による受賞式(右より2人目)

2016年11月 農林水産大臣賞を受賞(日本)

2016年末時点での長崎鮮魚の卸先は中国内64都市1116店舗にまで拡大

「安心・安全な魚を中国へ継続して供給する」「消費者の代わりに安心・安全なものを探し、供給する」をモットーに中国における日本産鮮魚輸入販売の第一人者です。

 

プロフィール

1970年4月 浙江省舟山市生まれ

1992年9月 拓殖大学日本語研修所にて1年半日本語を学び拓殖大学入学

19983月 拓殖大学卒業

趣味:読書、料理

(補足:読書はジャンルを問わず日本の本も読むそうです。幼少の頃、父親が出張に行くとそのお土産が絵本だったそうで、小さい頃から本を読んでいたそうです。中華、日本食問わず、料理の腕はプロ並みと聞いています。)

どんな感じの子供でしたか?

 当時の中国も共働きが当たり前であり、首から鍵をぶら下げていました。日本でいう鍵っ子でした。学校から帰ると、家事を行ったりしました。ご飯は自分で作って食べていました。

 コマやビー玉のような鉄球当ての遊びなどもしましたが、時間があればバスケット、卓球、バレー、バトミントンなど色々なスポーツをしていました。足が速かったこともあり、学校の代表として陸上部にも入っていました。種目は短距離で100m、200mの選手でした。足は速かったですよ。

海産物を取り扱う仕事に就いたきっかけは何ですか?

 日本のシーフードショーの通訳をしていた時に日本の水産会社から声が掛かり、今の仕事に就くようになりました。舟山という土地柄、親の世代のほとんどの人が水産関係の仕事に就いていました。子供の頃から水産関係の仕事は見慣れていたということもあり、抵抗はありませんでした。 

長崎鮮魚を取り扱うようになったきっかけは何ですか?

 2002年、中国マーケット担当として中国に戻ってきました。中国に戻ってからもたまに日本食を食べたくなり、日本料理店に行くこともありましたが、日本で食べていた刺身と比べると中国で食べる刺身は全く美味しくありませんでした。

 長崎魚市とは冷凍サバ販売などで当時からお付き合いがあり、長崎魚市の呉部長と上海の日本料理店で食事をした際に、呉部長からの「中国の刺身は美味しくない。日本(長崎)の鮮魚の輸出はできないのか?」という言葉から始まりました。

長崎鮮魚の歴史とその時の思い出などを教えて下さい。

 2005年11月、テストということで、初めて長崎鮮魚が上海に入ってきました。それが長崎鮮魚の歴史のスタートです。その後、2006年から正式に長崎鮮魚の輸入が開始されました。

 当初、中国で長崎鮮魚は全く売れませんでした。長崎のアジは刺身でも食べることができる非常に美味しい魚ですが、それも売れない状況でした。例えば1500円の鮮魚でも売れないので冷凍します。冷凍すると100円でも買ってもらえませんでした。知名度がない冷凍の魚は誰も買ってくれません。たった10ケース、数十キロの鮮魚も売ることができませんでした。

 当時の中国で出回っていた刺身は冷凍物や中国の養殖物がほとんどであり、日本料理店のニーズも相応にあったため、安く魚を仕入れ、刺身として高く販売していたこともあり、利幅が大きい食材となっていました。そんな中、値段が高い長崎鮮魚を取り扱ってくれるお店はありませんでした。

 既にスーパー事業(直営店)を展開していたので、古北エリアで日本人に長崎鮮魚を買ってもらいました。そこで買った人達から「やっと美味しい魚が中国で食べられる」「モノがいい」と喜びの声が聞けました。美味しいものを食べることができたというお客様の笑顔でここまで頑張ってくることができました。

長崎鮮魚の拡大の秘訣は?

 最初は本当に売れませんでした、辛かったです。こんなにいいものがなぜ売れないんだという悔しい気持ちもありました。しかし、あきらめずにやってきたことが長崎鮮魚の拡大の秘訣だと思っています。長崎鮮魚はこんなにいいものだという思いからあきらめずにやってくることができました。また長崎県の協力ももちろんですが、長崎魚市との連携などが大きいと思っています。

 飛行機などのハード面、物流コストの上昇、中国におけるコールドチェーンの整備など物流面での課題や、日本(長崎)での漁獲高など、今後も色々な問題があると思いますが、関係の方々と協議しながらクリアーしていきたいと考えています。長崎鮮魚は確実に中国マーケットにおいて成長していくと思っています。

仕事をする中で苦労していることは何ですか?

 水産関係の仕事をしたいと考える若者が少ないことです。魚の勉強をする若者も少ないです。当然メインは魚屋ですが、会社としての働く環境や見た目や表向きは、例えば化粧品屋のようにお洒落な会社にするようにしていき、優秀な若者が集まってくるような企業にしたいと考えています。そういう会社にしていくのも必要だと思いますし、優秀な若者が働きたくなるような会社になるように頑張っていきます。

刺身以外で長崎鮮魚の美味しい食べ方を教えて下さい。

 中国人もよく食べるハタですが、長崎では天然のハタが獲れます。中国で食べられているハタはほとんどが養殖物です。長崎のハタは小さい頃に私が食べていたハタと同じで、東シナ海で獲れるものですので大変美味しいと思います。蒸して食べるのがお勧めです。

 その他にはブリ大根です。鮮魚で入ってきているブリは新鮮なので臭みもありません。また切り身であれば値段もお手頃です。中国人は大根も醤油味も好みますので、ブリ大根は中国人にもぴったりだと思います。

曽波総経理の長崎のイメージを教えて下さい。

 生活しやすいと思います。私自身も島出身なので、海に面している長崎の雰囲気は好きです。

 また、長崎の人たちは外国人に慣れていると思います。東京の人たちなどはコミュニケーションの面などもあるのでしょうが、外国人との交流は苦手なような気がします。長崎の人たちにはそういった面があまりなく、とても親切だと思います。

 あとは、何を食べても美味しいです。

 長崎には何度も行っていますが、全てビジネスで、ゆっくりと長崎観光をしたことがまだありません。長崎訪問の際は長崎魚市の見学や長崎各地の水揚げの見学などに必ず行くので起床は朝3時です。夜の食事会も長くなったりするので、長崎での仕事が一番ハードです(笑)。いつかは家族旅行でゆっくりと長崎に行きたいです。

中国の見所はどんなところでしょう?

 中国にはたくさんの歴史(建物や特産品など)が残っているので、中国の歴史を一部分でも、少しでもいいので勉強をして中国に来れば中国がより面白くなると思います。(例えば三国志時代でもいいので)その歴史に沿って中国の各地に行けばその時代の建物や歴史を感じることができると思います。歴史を勉強して古い都市に行くのがお勧めです。何も知らずに行くと面白味に欠けるのではないかと考えます。

上海のお勧めスポットを教えて下さい。

 日本人なら上海市内にある日本の疎開地などではないでしょうか?当時の日本人が作った赤い屋根の家などもまだ残っています。やはり、当時の歴史を少し頭に入れて行ってみるのがいいと思います。

 食の面では、上海は探せばいいお店がたくさんあります。昔からやっているラーメン屋でもいいと思います。最近の派手なお店ではなく老舗の雰囲気を出している古いお店がいいのではないでしょうか。そういったお店の方が味はいいと思います。上海料理でいくと徐家匯の「老吉士」は外観も昔ながらの上海の古い建物ですし、味も日本人に向いていると思います。

中国人の観光客にお勧めしたい長崎のスポット、食べ物を教えて下さい。

 長崎の夜景を見ながら是非食事をして下さい。これは長崎ならではだと思います。安くて美味しい上に、夜景は綺麗ですし、街中からも近い(移動距離も短い)です。特にお勧めは稲佐山の展望レストランです。長崎の夜景を是非楽しんで下さい。

 その他にはやはり「ちゃんぽん」です。福建省との交流の話など、ちゃんぽんにまつわる話を中国人に教えてあげて、ちゃんぽんを食べさせれば更にいいと思います。

これから中国に進出を考えている企業等に対するアドバイスをお願いします。

 「まず、どうして中国でビジネスをしようと思ったのか」を再度確認して欲しいです。中国は大きなマーケットですが、中国の国土自体も広いです。日本人しか知らないものを売ろうとしても上手くいかないことが多いかもしれません。中国だからといって何でも売れるわけではないと思います。もしかすると台湾の方がいいかもしれません。まずはターゲットを絞ることが必要だと考えます。例えば、この商品は中国のどの地区をターゲットにするのかなどです。今はネットで多くの情報を拾うことができるので、下調べを十分にして下さい。自分の業界のことであれば、ターゲットを絞ると自ずと答えが見えてくるのではないでしょうか。

 また、大手企業でも個人の方でも100%日本式のビジネスだと中国でビジネスをおこなっていくのは難しいと思います。お互いを理解できる良き現地パートナーと一緒にビジネスをやっていくのが一番いいと考えます。日本の良い所を取り入れつつ、中国に合わせたビジネスをやっていく必要があると思います。

最後に、長崎鮮魚はどこで食べることができますか?

 とれたての長崎鮮魚を翌日には消費者の食卓へ―――。大洋世家は週3回の空輸で安心安全の食材を上海のみなさまへ、そして飲食店へお届けしています。上海市内の小売店舗尾では伊勢丹、高島屋、全洲超市、八佰伴などで販売されています。

 

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