【Q】:当社単独の出資による現地法人(貿易公司)の設立に当たり、董事会や監事会は設けずに、当社役員による執行董事、監事を設置予定です。現地へは出張ベースで業務を行い、常駐はしません。
これらの執行董事、監事への現地法人からの役員報酬の納税はどのようになりますか?そもそも役員報酬は必ず必要でしょうか?
?【A】:
1.役員報酬の必要性
結論から言えば、中国の法令に役員報酬を支払わなければならないという規定はありません。
労働に対する役務の提供であれば、適正な賃金を支払う義務があります。その意味では執行董事、監事には報酬を支払う義務はありません。
2.役員報酬の納税
対象となる人をA氏とします。A氏は中国では非居住者になります。非居住者は中国国内源泉所得について納税義務を負います。
A氏への支払いは役員報酬となり、役員報酬の所得の源泉地の判定は、『日中租税条約」に基づくと以下の通り定められています。
『日中租税条約』
(役員報酬)
第16条 一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で取得する役員報酬その他これに類する支払金に対しては当該他方の締約国において租税を課することができる。
? つまり役員報酬に関しては居住、非居住に関わらず、任命国の国内源泉所得とされ、中国法人の役員である限りにおいてその報酬は、中国国内源泉所得となります。
よってA氏に中国法人から支払われる役員報酬は中国で居住した期間がなくとも、中国で納税が必要です。
以上
出所:日中経済貿易センター上海事務所
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