インタビュー:張家港保税区管理局委員会物流貿易局 張暁嫻局長助

2007年04月134号

インタビュー:張家港保税区管理局委員会物流貿易局 張暁嫻局長助理

張家港保税区物流園の入り口 張家港保税区物流園の入り口

Q:江蘇省の張家港保税区の概要について教えてください。
A:(1)蘇州地区の中核都市-張家港市について
張家港保税区は、揚子江デルタ地区に位置する新興港湾都市?張家港市にあります。張家港市は、蘇州広域市に属し、蘇州広域市に含まれる5市の中の一つです。総面積は999平方?、総人口136万人の中核都市です。張家港市は人間と環境との調和、アメニティ重視など、オリジナルな町づくりを展開してきました。「環境保護モデル都市」、「アメニティ都市」などの分野で国から表彰を受けています。

 (2)区と港が一体する張家港保税区域について
 張家港保税区は、1992年6月に国務院の許可を得て設立され、中国では最初に国から認定をうけた保税区の1つです。現在、張家港保税区域は、張家港保税区(1992年)、張家港保税物流園区(2004年)、揚子江国際化学工業団地(2001年)、揚子江ハイテク産業団地(2005年)から構成されています。
張家港保税区域は、揚子江に面している張家港と一体化し、港湾機能、保税ストック、輸出加工などの機能を有しています。基幹産業としては、化学、食糧油、紡績、電子機械、物流などが挙げられ、進出企業は3000社にのぼります。ダウンケミカル、旭化成、シェップロンフェリプス、ボーパック、住友、日本触媒、大塚化学、日通など、グローバル企業が多数進出しています。揚子江沿いの張家港は現在、万トン級バースが41基あり、年間取り扱い貨物は1億?を超え、コンテナは60万TEUに達しております。

 (3)グローバル物流の最前線―張家港保税物流園区について
 2004年8月からスタートした張家港保税物流園区は、全国で8ヶ所のみで、江蘇省唯一の保税物流園区であり、江蘇省揚子江沿岸ゾーン開発の重点地域です。
主に西区と東区に分かれていますが、西区は液体タンクをメインとし、東区は固体倉庫や特殊物質倉庫があります。現在、液体タンクは60万立方?を保持しており、固体倉庫の面積は合計200,000平方?です。現在、日通、ボーパックなど多数の国際企業が進出しています。

Q:保税物流園区のメリットを教えてください。
①貨物を入区させる=海外企業へ輸出する場合、輸出増値税還付申請に必要な証明(退税単)が税関より発行され、増値税が還付されます。
 ②海外(非居留者)の名義で、商品を保税貯蓄できます。保税貯蓄の期間に制限がなく、長期間の保管が可能です。
 ③中国の委託加工生産企業で製造した半完成品(一次加工品)を別の委託加工生産企業に資産移転(転売)する時の作業が、現状(深加工結転)に比べて簡素化できます。
 ④輸出入を物流園区で一括処理できるため、輸送経費の削減、輸送リスクの軽減が実現できます。

 現在、張家港保税区では、化学系、精密機械、自動車部品など多業種の日系企業が数十社、進出しています。これらの日系企業と日々接し、企業の悩みや要望を受け止め、柔軟な対応並びに問題解決に向けての行政としての提案、アドバイスなどを行っています。

(インタビュー協力者のご紹介)
張家港保税区管理委員会物流貿易局
陳暁嫻(チン シャオシェン) 局長助理
蘇州大学日本語学科より日本留学、九州大学大学院修士課程、博士課程修了
比較社会文化博士 2006年4月に帰国 九州大学大学院特別研究者



MOBILE